15年前 初めてだらけのカラオケで

5/17

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
 それが彼の本性だった。  ダメ男すぎて、全国のダメ男たちに失礼に感じる。  そもそも、何も知らない女子中学生に手を出す時点で、十分片鱗はあった。  それでも当時のワタシは好意を寄せ続けていた。  『恋は盲目』とはよく言ったものだ。  彼に奢ることに幸せすら感じていたのだから。  なんだかんだでうまくいき、付き合って4か月が過ぎた頃。  大きな転機が訪れることになる。  事は、ライブハウスで起きた。  彼はミュージシャンと目指していて、月に一度はライブハウスで演奏していた。  でも、全然パッとしなくて、観客は仲間内の数人だけだった。  もちろん、彼女であるワタシもライブハウスに出向いて、聞いていた。  多分、彼氏が歌っていなかったら3秒で帰っていただろう。  それほどに、彼のリズム感も音程も熱意も、ダメダメだった。  そんな歌を聞いていると、なんとなく思ってしまったのだ。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加