15年前 初めてだらけのカラオケで

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(ワタシだったら、もっとうまく歌える気がする)  そして、実際に歌ってみた。  ちょっとライブハウスのマイクを借りて。  実際に、ワタシには才能があった。  歌い終わった瞬間、彼はワタシの肩を強く掴んだ。 「お前、サイコーだよ!!!」  今思えば、ワタシはこの時、本気で惚れたんだと思う。  年下の天才を、純粋に褒めて、無邪気な笑顔を向けてくれる男。  普通の人よりも純粋で、子供っぽいだけの男。  厳格な親が嫌いなワタシにとって、彼がどれだけ魅力的に映ったことか。  まあ、数年後、ワタシがプロデビューする頃には、浮気癖のあるヒモ(・・)になってたんだけど。    それでも彼を捨てなかったのは、彼が『歌の原点』だったからだ。  彼がワタシの傍を離れたら、歌を歌えなくなってしまう。  そんな予感がしていたからだ。  シンガーソングライターでいる限り、彼は必ず必要な存在だった。    でも、たまに思う。
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