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(あの時、ダメ夫についていかなかったら、どんな人生があったんだろう)
例えば、親の言う通りにして、公務員になったとしよう。
両親みたいに社内恋愛をして、多くの人を呼んだ結婚式を挙げて、子供をつくる。
きっと、安定で幸福な人生を送れただろう。
でもそんなのは、ただの妄想だ。
ワタシは、そんなマトモな生き方をできるような、星の下には生まれていない。
きっと苦労して生き続けることを、宿命づけられている。
だって。
出会ってから15年が過ぎた今だって、苦労を掛けさせられているし。
「何をボーッとしてるんだ?」
夫の声が聞こえて、ハッとした。
右手に冷たい感触を感じて目をやると、ドアノブが握られていた。
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