15年前 初めてだらけのカラオケで

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 キョロキョロと。  周囲を見渡して、やっと状況を把握できた。 (あー。そうだ。カラオケボックスに来たんだった)  どうやら、部屋に入る前に意識が少し飛んでいたみたいだ。  最近疲れているせいで、そんなことが増えてきている。 「本当に大丈夫か?」 「ダイジョーブダイジョーブ」    ワタシは車椅子(・・・)を押して、カラオケボックスに入った。  すぐに車椅子から夫をおろして、ソファーに座らせる。 「いやー。カラオケなんて久しぶりだなー」  ここは夫と初めて出会った時と、同じ部屋だ。  様子からして、夫はそのことに気付いていないだろう。  かなりの鈍感野郎だから、想定の範囲内だ。  そもそも、どうやって出会ったか覚えているか怪しいし。  彼は記念日を全く覚えないし、自分から祝うことはしない。  それぐらいにはテキトーでヒョウキンだ。  だけど『覚えていない』と思うのには、もう一つ理由がある。
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