優しい友達

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「だからママは言ったでしょ。女子サッカークラブなんてケガでもしたら大変じゃないの」 「これ以上成績が下がったら塾を辞めて家庭教師を付けような」 「美紀は体が弱いから、水泳大会は見学にしましょう」 「パパが小学校の頃は毎日弁当を持って塾へ通ったもんだ」  家にいるとママとパパが口々に美紀に意見するので、美紀はいつも何も言えなくなってしまう。  美紀の事なのに、決めるのはいつも二人。  女子サッカークラブは、美紀がどうしてもと希望して決めた部活動だから気に入らないのだ。  ママは美紀に理科観察部か図書活動部に入ってもらいたかったから。  それに成績が下がったといったって、国語の小テストで1問間違えて10点満点がとれなかっただけだ。  パパは大げさなのだ。  自分が子どもの頃、遊ばないで勉強ばかりしていたことを美紀にも押し付けてくる。  それで苦しくなって美紀が過呼吸を起こすと 「ストレスに弱いから」「鍛錬が足らん」「しっかりと個別に見てもらえる私立中学がいいわ」「そんな弱気でどうする」    頭の上からちくちくした言葉が降ってきて、美紀は悲しくなってしまうのだ。
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