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「またレナって子と遊んできたの?」
塾のない水曜日は、レナと思い切り遊べる貴重な日なのに、ママは帰ってきた美紀を玄関で待ち構えて問いただした。
「校区外の子と遊ぶのは、感心しないわ」
とママ。
「でも塾には校区外の子もたくさんいるし…」
「塾のお友達は別。どこから来てるか、保護者の方もわかるし」
「レナの家は川向うの赤い屋根の…」
「そういう話じゃないのよ」
ママの口ぶりから、ママがレナと遊ぶことを禁止しようとしていることに気づいて美紀はあわてた。
ママがダメだと言ったら、それは家のルールになってしまう。
ずっと以前、セキセイインコの「星丸」くんを、羽や餌の屑がアレルギーの素になってはいけないと親戚に譲ってしまったママ。
本当は美紀が星丸を可愛がりすぎたのが理由だと、美紀は知っていた。
「ママはまた、取り上げるの?」
「え?」
「ママなんか大嫌い!」
美紀は気が付くとそう叫んでいた。
そして家の扉を開け飛び出した。
「美紀!? どこへ行くの? 止まりなさい美紀」
ママが言う声が聞こえたが、美紀は止まらなかった。
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