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「ある日の朝」篇
俺の名前は前嶋真広。
獅子座B型の31歳。元華族前嶋伯爵家のおぼっちゃまだ。
藤堂英明とはガキの頃からの腐れ縁。親同士が仲良かったからな。
ひとりっ子のヒデアキは俺を兄貴みたいに慕って、まーくんまーくんてちょろちょろと後ろを付いて回ってた。
あの頃はアイツもそれなりに可愛かったんだぜ。あんなに仏頂面じゃなかったから。
いつからだろうな。アイツが笑わなくなったのは。
いつも黒ずくめの服を着て、美人敏腕秘書と超人頭脳の右腕を従えてポーカーフェイスがトレードマークになった。
ま、俺たちみたいな家柄は大なり小なり問題を抱えてて、そりゃ仏頂面にもなりますわってもんだけどな。
それでも俺なりにアイツのことは心配してた。心優しい兄貴分としてね。
ところが最近、アイツは途轍もないかわい子ちゃんをハウスキーパーとして雇いやがったんだ。
誰かと一緒に暮らすなんて絶対にいやだって言ってたのに。
しかも17歳の高校生男子!
おまえにそんな趣味が有ったとは知らなかったぞって茶化したら、めっちゃキツい右ストレートが飛んできた。
まぁでも、そのハウスキーパーの咲良ちゃんのお陰でアイツは少しずつ昔の素直な顔を取り戻してきている。
あのヒデアキに蕩けるような笑顔をさせるんだから、咲良ちゃんは本当に凄い。
名前の通り、星が咲くような子だよ、まったく・・・・・・。
とにかく、俺には守るべき相手がまた一人増えた。ヒデアキが大事にしている咲良ちゃんは、俺にとっても大事な存在だからな。
え? 佳人は違うのかって?
佳人は俺の助けなんか必要としない。てか、俺自身を必要としない。情けない限りだけど。
でも諦めてはいないぜ。最愛の人はこの世に一人って決めてるから。
さて、明日の朝に備えてそろそろ寝ることにしよう。
おやすみ。これを読んでるMy Sweet Honeyたち。
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