響く声とその主

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 玲は少し言いづらそうにしていたが、決心したように顔を上げる。その真っ直ぐな瞳に悠の鼓動が高鳴った。 「ちょっと気分転換に付き合ってくれないか?一人じゃ寂しいからさ」  照れたように笑う玲に悠が断るわけがない。悠は玲の頼みを聞き入れると、二人はそのまま施設外へと足を向けた。  しばらく歩くと景色が綺麗な原っぱにつく。玲は伸びをし、気持ちよさそうに深呼吸をした。 「あぁ……風が気持ちいいな」 「気分転換になりましたか?」  悠の言葉に玲は頷くが、その笑顔に力はない。やはりどこか元気がないように見える。 「何か悩み事でも?私で良ければ聞きますよ」 「いや……」 「心配せずとも、王様や騎士の彼には内密にしておきますよ。だからどうか、今だけ……俺の前ではあなたの抱えるものを曝け出してはくれませんか?」  悠の必死な姿に玲は少しだけ戸惑いの色を見せたが、すぐに笑顔で「ありがとう」と返事をした。そして口を開きかけたところで、一瞬思案するような表情を見せてからこう言った。 「やっぱりいいや。心配かけてごめん」  その笑顔はどこか寂しげで……悠にはそれ以上何も言えなかった。 ***  それからというもの、玲の様子がおかしいのはわかっていたが、悠は何を言えるわけもなく。  ただ日々のタスクをこなしていた。時折くる玲とも普通に会話をし、その度に彼女の元気のなさに心を痛めるが、それだけ。  玲が話さない限り、悠にできることなど何もなかった。    それからしばらくして、悠がいつも通り研究室で研究に勤しんでいると、不意に扉が開いた。ノックもせずに入ってくる者などここには一人しかいない。予想して顔を向けると案の定そこには玲の姿があった。 「やっぱりここにいた」 「俺をお探しでしたか。女王……失礼、姫の頼みとあらばなんなりと」
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