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 ピピピ、と軽やかな機械音を片手で消した。  カーテンを開けると見慣れた朝日が差し込んでくる。今回の部屋は三階だが、周囲には芝生広場が広がっており日当たりがいい。いくつか立っている低木も空からの光を遮ることはない。  当たり、ってやつかな。  顔を洗ってコーヒーを入れる。朝食を済ませてベランダの掃除をした。引っ越したばかりの部屋だ。できるだけ綺麗に保ちたい。  スーツに着替え、バッグを持って玄関の扉を開ける。  マンションの廊下に出ると、ちょうど同じタイミングで隣の部屋の扉が開いた。 「よ」 「げ」  僕を見つけた瞬間、スーツ姿の三葉(みつば)は眉間に皺を寄せた。向こうも出勤のタイミングだったようだ。 「え、また隣に引っ越してきたの!?」 「うん。よろしくね、お隣さん」  僕がにっこり笑って告げると、三葉はわかりやすくため息をついた。 「ちょっともう何回目よ。なんで私が引っ越したらすぐ隣に引っ越してくるの」 「たまたま隣が空いてたからね」 「神様は悪戯好きね。てかそれ理由になってないから」 「三葉のことが大好きなんだよ」 「ジョークでしょ」 「さすが幼馴染」  二人でエレベーターに乗り込んで一階のボタンを押す。前のマンションと同じ種類のエレベーターなので使い方は問題ない。
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