(二)

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 すぐに続けて「うわ、手についちまったよ」と松阪は言うと、ハンドルタイプの水栓を手の甲で上に押し上げて、指先に着いた特級呪物の残滓とそこで体をくねらせている白いウジ虫を、最大限の水勢で落とした。さらに手の甲と平を交互に何度か裏表にした。 「この仕事ではたまにあるんだよ、こういうことが。ま、とりあえず、手を洗えばなんとかなるから」  そういうと松阪はゴミ袋を持って再びダイニングの方へ行き、自分の仕事に戻った。  松阪のおかげで最大の難局はなんとか超えることができたと有井は思った。 (続く)
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