(三)

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 すると、そこからものすごい数のハエが一斉に飛び出してきた。  有井は「うわあ!」と思わず大声を上げてその場に尻餅をついてしまった。  一斉に飛び出したハエたちはまるで真夏の暴走族のようにぶんぶんいわせながら、天井近くの空間を狂ったように互いに蛇行しあいながら暴飛した。  しかも尻餅をついた有井のその目の前には、乳母車がこちらを向いて置かれていた。そしてそこには、目をパッと見開いたままの赤ん坊が乗せられていた。 (続く)
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