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藤並がカウンターの低い位置の窓に向かって、腰を曲げて中を覗き込みながらそう言った。
「ああ、そう。高茶屋さんのところね。こちらでは何も聞いていないけど」
老眼鏡越しに藤並と有井を交互に見ながらぶっきらぼうにそう言った。
「そうなんですか。こちらで鍵を借りるようにと言われまして」
「と、言われましてもねえ……」
そう言うと管理人さんは奥へ入っていった。十分程待たされた後、再び顔を出した。
「つながらないねえ。旦那さんも奥さんの方も」
(続く)
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