弐 同棲(?)しちゃった

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「ちょっとお腹空いちゃったから…バーガー食べ行こうよ!」  バーガーというまた分からない単語が出てきて顔を顰めるラインハルトだが、理解は出来ないがとりあえず頷いておいた。するとまお子は嬉しそうに笑って小走りに先を行くと「こっち!」と振り返りながら元気よく言った。  到着したのはまお子達の住む間桜(まおう)町の商店街で、その中に連なるファーストフード店だった。 「ここのビックバンバーガーが美味しいんだけど、ボリュームありすぎて夜ご飯が入らなくなるから普通のやつにしておこう」  まお子はそう言って、一番ベーシックなコスモバーガーとポテト、そしてミルクシェイクを注文する。字の読めないラインハルトは戸惑ってばかりだったが、まお子が自分と同じメニューを注文しておいた。  お盆に注文した商品を乗せて、まお子達はレジカウンターから席へと移動する。空席を見つけて、二人は向かい合うように座った。  どこへ行っても注目されてしまうラインハルト。それは彼がコスプレイヤー勇者なので仕方ないのだが、まお子はそんな周りからの好奇な視線にまだ二日だというのにすっかり慣れてしまっていた。  まお子が気にしていないからか、ラインハルトも自身の格好がこの世界ではどれだけ特異なのか気付いていなかった。 「そういえば聖剣はどうしたの?」  さっそくバーガーを手に取り、包み紙を開きながらまお子が尋ねる。学校に現れた時、彼は確かに聖剣を持っていたのだが今はどこにも見当たらない。剣先を喉に突き付けられたまお子が見間違うはずないのだ。 「…聖剣はここにある」  まお子の真似をしてバーガーの包み紙を開いていたラインハルトは手を止めて、グイッと自分の襟元を開いて見せた。そこには、ミニチュアになった聖剣がネックレスのモチーフのように首から下げられており、彼の鎖骨辺りで揺れていた。  前にまお子からこの世界のルールとして『銃刀法』というものを学んだラインハルトがとった対策だった。 「…それ、小さくもなるんだ」 「あぁ。何せ女神様から賜った聖なる剣だからな」  得意げな顔で言うラインハルトに、まお子は関係あるのかと疑問に思ったが、深くは突っ込まないことにした。面倒くさいことになりそうなので。  とりあえず、今は目の前のジャンクフードだ。まお子は期待に満ちた目でバーガーにかぶり付く。 (ん〜! 美味しい!)  この家庭料理とはまた違った濃い味付けがたまらない。まお子があまりにも美味しそうに食べるので、その様子を見ていたラインハルトも期待した気持ちで大口開けてバーガーにかぶり付いた。
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