弐 同棲(?)しちゃった

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(!?)  ラインハルトの思考が一瞬止まった。 (なんだこの味は!? このふわふわの食感はもしやパンなのか? それに間に挟まっている茶色い物体は…これは肉だ!! パンで肉と野菜を挟んでいるだけなのに、この美味しさだと!?) 「美味しいでしょ」  ラインハルトが夢中になって次のひと口を味わっていると、目の前のまお子が得意げな顔でニカッと笑った。 「これも食べてみてよ。フライドポテト」  まお子に言われた通り、ラインハルトはポテトに手を伸ばして口へと運んだ。 「!!」 「揚げたてのジャガイモって美味しいよね」 「これ、ジャガイモなのか!?」 「さ、そのままシェイクもどうぞ」 「〜!?」  明らかに好感触でいい反応を見せてくれるラインハルトにまお子は思わず吹き出しながら笑った。 「ハルト、ウケる!」 「うける?」  また知らない単語…。ラインハルトは意味が分からない事ばかりでもどかしさを感じる。 「えぇと…ハルトと話してて楽しいってこと!」  まお子がそう言いながら本当に楽しそうに笑うので、ラインハルトは戸惑いを隠せなかった。 「…俺たちは、敵同士だ…」  少し俯きながらラインハルトは呟いた。 「なのにお前は…俺に隙を見せ過ぎる」  そしてムスッとした顔で不満をもらす。 「だからぁ、私はもう前の私じゃないんだって…」 「でもお前がしてきた事は消えない」  ラインハルトの伏せていた目が上がり、真っ直ぐにまお子を見つめた。人間と魔族の戦争…別にまお子とラインハルトが争うよりも前からその戦争はずっと続いてきた。だから、まお子に戦争の全ての責任を押し付ける事は違うのかもしれない…。  けれど、ラインハルトはまお子やその配下の魔族や魔物に大切な人を何人も奪われてきた。家族、友人、仲間…彼らの死に際の表情が、今も忘れられないのだ。  まお子はお気楽そうに笑っていた笑顔を引き締めて、真剣な表情でラインハルトを見つめ返した。 「そうだよ、私のしてきた事は消えない」  ハッキリした口調でそう言ったまお子に、ラインハルトは彼女の開き直った太々(ふてぶて)しさを感じて苦い気持ちになった。 「だから私は『これから』頑張るの」  まお子はラインハルトの青い瞳から目を逸らさずに続ける。
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