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この世の中にこんなに美味しい食べ物があったのか。
「ご満足いただけましたでしょうか」
「はい、満足です……」
食後のコーヒーになってオーナーが挨拶に来た。
その頃になってもまだ余韻に浸っていて、ほぅ……と感嘆のため息が漏れる。
「よろしければ当店の会員になりませんか。
次回から人魚の肉が入った際、ご連絡を差し上げます」
「あー……。
どう、しようかな……」
あの肉をまた味わいたいので、できれば入りたい。
しかし今日の食事は社長の奢りだったのでいいが、一回出ていく金額を考えると迷った。
「本来なら入会料がかかるのですが、うちを贔屓にしてくださっているあの方のご紹介です。
特別に免除しますよ」
そっとオーナーに背中を押され、僕は入会を決意した。
「あー、本当に美味しかったな……」
大満足で店を出る。
社長のおかげで会員にもなれたし、今度お礼を言わなければ。
「あれ?」
歩き出そうとして、店の裏に止まった車から誰かが降りてくるのが見えた。
支えられて出てきたのは社長、だった。
「ん?
んん?」
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