永遠に生きる

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「これ。 君の友達の肉だよね?」 彼の指摘で、背中が大きく震えた。 「そんなこと、あるわけねーだろ。 だいたいなんで、俺が人間の肉なんかオマエに食べさせるんだよ」 誤魔化して見せながら目が泳ぐ。 「人間じゃなくて人魚の肉、だよね?」 一瞬、心臓が止まった。 どうして彼は、知っているんだ? 「前にね、君が海辺で誰かと話しているのを見かけた。 お酒を飲んでて、本当に楽しそうだったよ。 声をかけようと近づいて、相手がただ者ではないのがわかった。 だから僕は、知らないことにしたんだ」 恋人が俺と友人が話しているのを見ていたなんて知らなかった。 しかもそんな、気を遣わせていたなんて。 「これはあの、彼の肉だよね? だったら君が、食べるべきだ」 しかしそれと、この肉を俺が食べるべきだというのがわからない。 「これを食べれば病気が治るんだぞ?」 そのために俺は友人の命を奪い、肉を手に入れてきた。 なのになぜ、頑なに恋人は断る? 「そうだね。 でも僕は、死ぬよりも忘れられるのが怖い」
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