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「煩いんだよ、人外」
最終手段として置いておいた拳銃を手に、立ち上がる。
自分の失態に気づいたのか、懇願するように人魚が僕を見上げてきたが、そもそもコイツらにはそんな感情はない。
人魚の前に立ち、拳銃をぶっ放した。
「さっさと死ねよ」
苛立ち紛れに全弾ぶち込む。
ビニールプールが破れてプシューッと空気が抜けていき、溢れた水が僕の足を濡らした。
飛び散った血が、僕の眼鏡を汚す。
「さてと」
銃声が消える頃には人魚は息絶えていた。
「手間取らせやがって」
髪を握って引っ張り立たせたが、人魚はぴくともしない。
最初からこうしておけばよかった、見た目に騙されて迷ったりするから怪我をしたりするのだ。
「しっかし、いってーな」
椅子に座って咥えた煙草に火をつけ、しげしげと傷口を観察する。
昔、咬みつかれた犬の咬み痕とはまったく違っていた。
歯のラインに沿って切り取ったかのごとく、丸く線が入っている。
あのギザギザの歯はサメとかと同じような感じなんだろうか。
「とりあえず病院だな、こりゃ」
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