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憂鬱なため息が僕の口から落ちていく。
しかし、医者になんと説明しよう?
病院では女に噛まれたで通し、治療をしてもらった。
まあ、見た目は女だし、間違っていない。
「さー、こっからが大仕事だぞ」
解体しなければ人魚は食べられない。
それがちょっと……いやかなり、面倒だった。
今日のために得た医療知識で、人魚を解体していく。
骨格が人間と違ったらどうしようと思ったが、同じだった。
「なんだこりゃ」
腰から下が魚と同じ骨の作りになっている。
内臓は人間のものと違うようだった。
が、僕は学者ではないのでそんなことはどうでもいい。
味さえ確かめられればいいのだ。
どう調理して食べるか悩んだが、シンプルに焼くことにした。
生は寄生虫とかの危険がある。
念のために切り出した、上半身と下半身の肉に塩こしょうを振る。
上半身は豚や牛のような肉質だ。
下半身も赤身だが、いまいち判断はできない。
まあ、焼けばわかるだろう。
熱したフライパンに油を引き、肉を入れる。
じゅうじゅうという音とともに、美味しそうな匂いが漂いだした。
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