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たとえるなら上等の豚肉を焼く匂いだ。
長時間、人魚と格闘していたせいもあって、お腹が情けなくぐーっと鳴る。
「うまそ」
いそいそと皿にのせた肉をテーブルに置き、キンキンに冷やした白ワインとともに席に着く。
「いっただきまーす」
まずは上半身の肉をぱくり。
脂の甘い味が口の中に広がり、予想どおり上等な豚肉の味だった。
白ワインで脂を流し、二口目を口に運ぶ。
もうこれで延々食べていられそうだが、まだ下半身がある。
「こっちは、と」
肉質は哺乳類のものに近い気がする。
泳ぐのによく動かしているはずだし、マグロの赤身みたいな味なのか?
期待しつつひとくち食べてみた、が。
「なんかいまいち……?」
パサパサしている気がする。
まあ、それは僕の調理方法がマズかったのかもしれない。
旨味もあまり感じられなかった。
食感は……ゴムに近い感じ?
妙に弾力がある。
でも、魚とは違う。
「なんか不思議な生き物だなー」
それでも、もきゅっもゅっと美味しく全部いただいた。
「ごちそうさまでした、と」
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