6人が本棚に入れています
本棚に追加
女優
「今日のゲストは女優の式島果耶さんです」
「こんにちは」
インタビューアーの女性に紹介され、にこやかに挨拶を返す。
「いや、ほんとにお美しい。
お肌とかつやっつやで私なんかよりずっとお若いし。
これで四十歳だなんて全然信じられません」
まだ二十代の彼女が、大袈裟に驚いてみせる。
いくらなんでもやりすぎだろうと苦笑いが漏れたが、悪い気はしない。
「ありがとうございます。
たゆまぬ努力のたまものです」
カメラ写りを計算し、僅かに微笑んで謙遜してみせた。
「いやー、私も式島さんみたいになれるように頑張りたいです。
さて、新作映画……」
続いていくインタビューに打ち合わせどおり答えていく。
私、式島果耶は年齢不詳、永遠の二十四歳として売っていた。
もっともすでに実年齢は公開していたが、それがさらに私の神秘性を増していた。
肌や身体の手入れにはこれ以上ないほどお金も力も入れている。
そんじょそこらの小娘に私が負けるはずがない。
私はこれからも老いず衰えず、永遠の美女としてやっていく……はずだった。
「え?」
最初のコメントを投稿しよう!