導き

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導き

 王宮に住み続けるか、それとも出るか。  選択を与えられたザフィーラは、迷うことなく前者を選んだ。  答えが意外だったのか、顎に手をやったホセは小さく鼻を鳴らす。 「ここに住み続けられると思ったら大きな間違いだぞ。何しろこの宮は王の宮、住むのはメティン殿とその家族だ。そなたは王宮の外れにある宮へ移ってもらうことになる」 「構いません」 「……分かった。メティン殿にはそう伝えよう。ここを出る支度をしておけ、猶予は今日を含めて三日となる」  言って踵を返し、ホセはふと振り返る。 「しかしメティン殿はそなたを五番目の奥方にと望んでおられるようだ。そうなればまたこの華やかな宮に戻ってくることもあるだろうな」  ニヤニヤとした嫌な笑いを浮かべてホセは去って行く。途端に侍女たちがメティンを罵り始める中で、ベルナがそっとザフィーラの横に来た。 「ザフィーラ様。どうして王宮からお出にならなかったのですか?」 「……私は知らなくてはいけないの」
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