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『私が今宵、語るのは
南の一つ星が二つであったころの話』
女王ザフィーラの詩は長い。覚えるのは大変だと聞く。しかしきちんと歌えるようになれたのならこのトゥプラクでは大儲けができる。終わった後には賞賛の嵐に続き、惜しみない祝儀が与えられるからだ。
『今では空に輝く星々と、オアシスだけが知る秘密
星の白と水の青を併せ持つ彼の方の
在りし日の勲詩――』
気が付くと給仕はおろか、厨房の者たちも全員が表に出てきている。
やれやれ、と内心で呟きながら店主も手近な椅子に腰を下ろした。
吟遊詩人が来るのはずいぶんと久しぶりだ。
たまにはこうしてのんびりと、過去の詩に耳を傾けるのもいいだろう。
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