逢着

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 オアシスの都市の門を出るとすぐに道は砂に飲み込まれる。方角を間違わぬよう太陽の位置を頼りに砂の中を行くといつの間にか都市の壁は姿を消し、いくら顔を巡らせても辺りには砂しか見えなくなる。  最初に砂の道へ出た子どもが慌てるのはここだと聞く。  落ち着け、と自分に言い聞かせながらザフィーラは太陽の位置を確認し、覚え込んだ方角へ騎乗したユシュ鳥を進ませた。暑さに強い旅の友は力強く砂を蹴って走りゆく。  まだ朝の早い時間だとはいえ、さすがに砂漠は街の中に比べるとだいぶ暑い。何度か水を飲み、トゥプラク名産のデーツが二つ腹の中に消えるころ、砂の中にぽつんと何かが見えて来た。  砂とよく似た黄の色合いは、ともすれば気づかず見落としてしまいそうだ。しかし事前に嫌と言うほど聞いていたから絶対に砂と見間違ったりしない。あれが目的地で間違いない。  はやる心を押さえながらユシュ鳥の背に揺られていると、やがてそれは祠の形をとった。 「やった。着いたわ!」  オアシスの都市の門を出るとすぐに道は砂に飲み込まれる。方角を間違わぬよう太陽の位置を頼りに砂の中を行くといつの間にか都市の壁は姿を消し、いくら顔を巡らせても辺りには砂しか見えなくなる。  最初に砂の道へ出た子どもが慌てるのはここだと聞く。  落ち着け、と自分に言い聞かせながらザフィーラは太陽の位置を確認し、覚え込んだ方角へ騎乗したユシュ鳥を進ませた。暑さに強い旅の友は力強く砂を蹴って走りゆく。  まだ朝の早い時間だとはいえ、さすがに砂漠は街の中に比べるとだいぶ暑い。何度か水を飲み、トゥプラク名産のデーツが二つ腹の中に消えるころ、砂の中にぽつんと何かが見えて来た。  砂とよく似た黄の色合いは、ともすれば気づかず見落としてしまいそうだ。しかし事前に嫌と言うほど聞いていたから絶対に砂と見間違ったりしない。あれが目的地で間違いない。  はやる心を押さえながらユシュ鳥の背に揺られていると、やがてそれは祠の形をとった。 「やった。着いたわ!」  ザフィーラは庇の下にユシュ鳥を繋ぎ、水とデーツを与えて祠を見上げる。  建物は人が五人も入れば窮屈に感じるほどの大きさしかない。広い砂漠の中のこの祠はとても狭い場所に感じる。しかしたとえ狭くとも、ここはトゥプラクの人々にとってはとても重要な場所だった。
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