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何でバレる?
「らっしゃい! お二人様、こちらへどーぞ!」
紺の頭巾の、にこにこしたおっちゃんの声につられて、カウンターの奥へと進んでいく。
●
「女子の学生さんなら、食べたら無料までが多いですね。時間内に食べれなかったら自己責任で料金は頂くし、作り始めてからやめますっていうのも無しです。自信がなかったら今日は」
奥のテーブル席に移動させられた。撮影許可をちゃっかりと貰って、マシマシメニューの説明を店長さんから聞く佳奈。
「な、なあ。食べきれる自信がないんだけど」
「あれ? いつもいっぱい食べてるでしょ? 元気出るよ」
「牛丼メガのマシマシをお替りするようなもんだっての。だいいち、佳奈にゃ絶対無理だろ」
「え? 大丈夫だよ。だって、ほら」
佳奈の指さした方向を追っていくと、壁に写真がある。ウチの制服の女子がガッツポーズをしている。女子の横のがっちりした店員さんと同じような体格だ。格闘系?
で、それが何なん?
「ウチの女子も完食してるよ?」
おい。
「お前、それガチで言ってんの……?」
「うん」
「写真よく見ろよ! 普通に食おうぜ! なあ、店長さん!」
「はい。うちとしても無謀なチャレンジはしてほしくないですし。ちょっと語っちゃいますけど、食事って一日に五回も十回もできないじゃないですか。だから、食べる時は楽しく、嬉しくあってほしい」
いいこと言うなあ、店長さん。
「な。店長さんもこう言ってくれてんだし……」
「店長さん、もう一つ聞いていいですか?」
「あたしの話も聞いてくれえ~……」
「あ、はい。何なりと」
「みなさんはどんな時にチャレンジに来られるんですか?」
どんな時?
腹いっぱい食いたいからじゃねえの?
「あ~、なるほどですね。チャレンジの意味合いでは気合いを入れたい、絶対に頑張りたいことを控えてる方も多いですね」
「ほうほう」
「そういったみなさまが『試験、受かりましたよ!』『完食したから頑張れました』と顔を出してくれたりすると私達も嬉しいですよ。何かしらのお役に立てたのかなって」
へえ。
そういうのもあるんだ。
「で」
ん?
………お、おい、佳奈。何かお前、すっごい悪人みたいなツラになってんぞ?!
「ゆちか、気合い、入れなくっていいの? いっぱい食べて元気出して、気合い入れなおしなよ」
「んー……でも、あたしの元気のない原因は、気合い必要かなあ」
「あのさ。ゆちかが元気ないのって、門倉君の転校の事じゃないの?」
「げ。あ、いや……そんなこたあ……ねえよ?」
何でバレる?
あたし、寝言でも言ったんか?
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