氷牢の不死鳥

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「ええ。  物語は……よくわからないし、私がした時と変わっているので、何となくしかわかりませんけど。私の時は以降は様々な動物に扮した人たちが周りで踊ってて、その中心で今年選ばれた子と去年選ばれていた子その動物たちとともに演舞をするのです。  多分ストーリーとかもみんなを健康に、と言った感じです。  昔、私がやっていた時は一人で最後におまじないの言葉を……確か――」 「『いろちはたな あふおも』?」 「そ、そうです」 「ふふ。物知りだろう?」  何故知っているんだろう。    対する紫蘭はにっこりと困惑するまゆりの様子を見ていた。  紫蘭は初めてここに来た時も、まゆりの元いた場所も知っていた。『何か覚えていることは?』と半月ほど経って気が知れたところでそう聞かれた。  否と答えると紫蘭は一瞬悲しそうに目を伏せたことを覚えている。
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