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そう言って、花代はひゐろに匡を渡した。
二人が談笑していると、窓の外からタマが入ってきた。
「……あら!猫を飼っているの?可愛いじゃない」
「ええ。タマと言います」
花代はタマを抱き上げ、膝に乗せて撫でながら話しはじめた。
「松山や斎藤さんたちが手伝っていた堺利彦氏の理論は少し難しいところもあるし、反社会的だともいわれるわ。でもね、中にはわかりやすくておもしろい話もあるのよ」
「……たとえば、どんなお話なのでしょう?」
「女性の体格は、男性よりも小さいじゃない?だから大脳と脊髄を繋ぐ脳髄は、女性のほうが小さいのが当たり前でしょう?なのに、女性は脳髄が小さくて軽いから、到底男性に心身共に並び立つことはできないという人がいるの。男性専制の時代だから、その結論のほうが好都合なわけよ。でも体格と脳髄の割合で考えると、むしろ男性よりも女性のほうが脳髄は大きいのじゃないかって彼は言っているわ」
「そうかもしれないですね」
ひゐろは笑った。
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