第四話:真新しい下着を持って

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「これ、下着です。新しいものを身につければ、気分も変わるでしょうし」 「……すまない」 斎藤は風呂敷の中身だけ受け取り、風呂敷をひゐろに返した。 「これから、頻繁にここへ足を運びますね」 ひゐろは風呂敷をたたみながら、そう答えた。 斎藤は警察官を気にしつつ、独房での生活を少しずつ話しはじめた。 早朝の起床のこと、僅かな食事のこと、寒い監獄での就寝のこと、そして監獄の中で松山さんを見かけたことなど。 ひゐろも花代さんから、斎藤がここにいることを聞いたと伝えた。 「独房での生活に加え、ここでは刑務作業として煉瓦をつくっている。内務省が命じた苦役らしいよ」 手拭で汗を拭いながらそう言うと、斎藤は傍にいた警察官に注意された。 「身体を使う仕事も、悪くないよ」 そう言って、斎藤は笑って見せた。 面会時間が残り少ないと感じたひゐろは、斎藤に切り出した。 「……私のおなかの中に、斎藤さんの赤ちゃんがいます」
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