第五話:『平和記念東京博覧会』での再会

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第五話:『平和記念東京博覧会』での再会

「……俺の?」 斎藤は、思わず聞き返した。ひゐろは黙ってうなずいた。 「……俺たちに、子どもができた」 面会室に座った斎藤の手は、震えていた。 「結婚しよう。獄中にいる夫や父親で、すまないが」 「はい。よろしくお願いいたします」 ひゐろは、斎藤に頭を下げた。 「面会室も独居房もこのように実に狭いし、警察官もそこに座っている。僕は、今すぐここで飛び上がりたいくらいさ」 ひゐろの目は、涙であふれていた。 「ありがとう。うれしいわ」 「早くここから出たい。そのためには、刑務作業の煉瓦づくりに精を出すよ」 「待っているわ。また来週、伺います」 斎藤は、大きくうなずいた。 その夜、ひゐろは満たされた気分で、床についた。 翌朝、ひゐろは玄関に届いた関東日日新聞を広げた。 一面では連日のように、『平和記念東京博覧会』の様子が報じられていた。 昨日の新聞では、入場者数が約一萬五千人とあった。 そして開催の概要が書かれてあった。 今日の新聞では開催の内容について、事細かく書かれていた。 開催されている上野公園には平和の塔が建てられ、高さは百四十尺ある。 他にも機械館や航空館などの産業館や、大陸進出を物語る台湾館や満州館のことなども書かれていた。
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