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帰りに小菅監獄に行き、斎藤に小夜のことをたずねてみようとひゐろは思った。
小夜の恋人は、斎藤のように小菅監獄にいるのだろうか。
もし捕まっていないとしたら、いったいどこにいるのだろうか。
自宅に帰り着いたのは、十八時頃だった。
辺りはすっかり暗くなり、ひゐろは卵焼きをつくっていた。
「……ごめんください!」
玄関から男の大きな声が聞こえた。
ひゐろはあわてて、土間から玄関に向かった。
「風倉さんですね。電報です」
郵便局員は紙切れをひゐろに渡して、すぐに去っていった。
こんな時刻に何だろうと電報を広げると、
“チチキトクスグカエレ ハハ”
と書いていた。
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