第七話:頑固だった父の想い

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でも働いている姿を、見てほしいともひゐろは思った。きっと父も自分の働いている姿を、娘に見せたかったのではないか。 「お父さんは、あなたが働いていることを知っていたわよ。もちろんどのような仕事なのかは具体的にはわからないけれども。『ひゐろも自立したんだな』と言っていたわ。頑固なお父さんだけど、あなたに理解を示そうとしていたわ」 「……そう」 「私と銀座の時計台で会った日に、ひゐろが一人暮らしの準備をしていることをお父さんに伝えたわ。自立していたばかりのあなたを心配しているからこそ、二十圓札(にじゅうえんさつ)を用意してくれたのよ」 「……そうだったわね」 ひゐろの目から、涙がこぼれ落ちた。もう少し、成長した私を見て欲しかった。 涙を拭いながら、ひゐろは再び口を開いた。 「お母様。先日、病院へ行って調べたわ。私は妊娠しているの」
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