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 制服を着たウェイトレスが、微笑を浮かべて注文を取りに来た。ウェイトレスは、白のブラウスの上に赤のベストを着ていた。下は黒いパンツだった。良く似合っている。 恵和は、メニューを手に取り捲っていく。野菜のたくさん入った料理を注文した。 周囲のお客達は、観光客が多かった。酒を飲み煙草を吸い料理を食べている。  恵和は、窓外のピョンヤンの夜景を、ぼんやりと眺めた。これからどこで何をすることになるか、不安や心配が渦巻いた。けれど自分の意思で選択できることが、たまらなく嬉しい。  今までは、自分の気持ちは後回しで軍の指示で動くしかなかった。
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