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買い物を済ませ、そそくさと自宅に帰った。ソファで一息ついたあと、試しにあの黒タイツをはいてみようと思った。いつもは試しにはこうと思わないのだが、あの日は何故か違った。
テープをはがしてパッケージからタイツを取り出す。ソレは見た感じちょっと分厚いかなぁと思うくらいの、ごく普通のタイツだった。
早速右脚のつま先を、タイツの入り口に突っ込んだ。するりと引き上げると、とても着心地がいい。さて、左脚も……。
そう思ったとき、私の頭にふと阿呆な考えが浮かんだ。
——このタイツは、どれくらい伸びるのだろうか。
……パッケージ記載の「よく伸びる」という言葉が、私の何かを突き動かしたに違いない。
あのとき私はなんと、左脚の入り口ではなく、既に右脚が入った方に左脚のつま先をそっと差し込んだのだ!
それは、まさに魔が差したと言うにふさわしいという状況であった。そして不思議なことに、その左脚もするりするりと中に入っていったのだった。
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