目の敵

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ここに引っ越せたのは、敵であるあいつのおかげだった。 私たち双子はもともと三階に住んでいた。 三階は日当たりも通気性も良く、人気の高い立地だ。 けれど、私たちには向いていなかった。 そこに住み続けられるような華やかさがなかったからだ。 どんな場所でも、住み続けるには、相応しさが必要だと思う。 私たちは小さくて細い貧弱な容姿の上、管理人が幼い頃遊んでいた拍子に妹に大きな切り傷を負わせてしまい、一段と見苦しい姿になった。 すれ違う人から、露骨に蔑むような表情をされることもあった。 そんな経験がどんどん住み心地を悪くしていった。 さらに私たちを追い込んだのは、一階のあいつの存在だ。
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