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家に帰り着く頃には、少しだけ冷静さを取り戻していた。
自分なりに推理してみた結果、カケルが小さくなったのではなく、私が過去に戻された可能性が高いという考えに行き着いた。
ベビーベッドは使わない派だったので、当時うちでは座布団を二枚並べてバスタオルを敷いた上にカケルを寝かせていた。その事を思い出した私は、リビングに置きっぱなしの座布団を並べて寝床を再現し、赤ん坊を寝かせる。
「本当に、カケルなの?」
隣に畳んで置いた制服に目をやりながら、私は呟く。
先程までカケルが着ていた制服は、日頃彼が雑に扱っているせいか、あちこちが傷んでいる。
スヤスヤ眠る赤ん坊を見て、カケルとの思い出に浸る。
「可愛いな…可愛かったな、カケル」
小さな手にツンと触れると、私の人差し指をぎゅっと握りしめてくる。
新生児のお世話は大変だけど、この寝顔を見るといくらでも頑張れるような気がした。
「カケル…」
ふと思い立って、リビングのTVの電源を入れてみた。
うちのTVは動画サイトを視聴できる機種なので、リモコンで画面を切り替えてみる。
履歴には、当時私がよく観ていた子供向けの動画が沢山並んでいた。
『赤ちゃんが泣き止む音楽』
『リラックスできる音楽』
『ホワイトノイズ』
……など、寝かしつけに苦労した当時を思い出すような懐かしいタイトル。
(よく流していたよなぁ…)
そう思いながら履歴をスライドしていくと、ある動画に目が止まった。
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