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ぱちりと目を開けると、白い天井が見えた。
「?」と思い身体を動かそうとすると、全身に激痛が走った。どうやら自分はベッドに寝かされているようだ。
「痛っ!!」
「無理すんなよ、全身傷だらけなんだから」
「え…?」
何とか痛みに耐えながら声がする方に目をやると、自分のベッドの横に中学生のカケルが座っていた。
「カケ…ル?」
「さっき病院の人呼んだから、もうじき来ると思う」
「そうなんだ…」
少し気まずそうに、目線を逸らしながら説明するカケル。
「私、寝てたの?」
「うん、一緒に車に撥ねられた後病院に運ばれて、色々処置とか終わったところだよ」
そう話すカケルの左手は包帯でぐるぐる巻きにされており、頬には白いガーゼが貼られている。
「事故の原因は、ドライバーの脇見運転だったらしい。
俺は骨折だけで済んだけど、母さん全身に大怪我して意識戻らなかったから…」
嘘みたい。先程の赤ちゃんカケルを抱っこしたのは夢だったのだろうか。
現実を受け入れられずにポカンとしている私に、カケルは続ける。
「ごめん。俺が母さんから逃げたりしなきゃ事故にも遭わなかったのに」
「カケル……」
やけにしおらしく、元気の無い声で謝ってくるカケルがカケルでないように見え、つい私はまだ夢を見ているのではないかと思い自分の頬をつねった。
「いたい」
「何してんの?母さん」
呆れたようにボソッと呟くカケル。しかし、その表情は今朝私を拒絶した時の冷たい目ではなく、本当に私を心配しているように見えた。
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