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そう言いながらあまねちゃんは鉄棒でぐるぐる回っている。
あっけなく降参モードの颯は勝ち負けのない砂場で遊ぶことを提案した。
砂場でトンネルを掘っているうちに、いつのまにか空が真っ赤に染まっている。
トンネルは無事開通、颯とあまねちゃんはトンネルの中で握手した。
「明日も遊ぼうね!」
「うん!」
あまねちゃんのお母さんが四階のテラスから手を振っている。
颯たちは手や衣服についた砂を払ってそれぞれの家に帰った。
その日から颯とあまねちゃんは、晴れの日は公園で、雨の日はお家の中で一緒に遊んだ。
太陽の光で肌が黒くなる頃、急にあまねちゃんが遊びに来なくなった。颯は思いきって四階まで行ってみた。そして玄関のチャイムを鳴らした。
「ピンポン……ピンポン……」
返事はなかった。
次の日もその次の日も、颯はあまねちゃんの家を訪れた。だけど誰も返事をしてくれなかった。
あまねちゃん何処に行ってしまったの。
「あまねちゃん、お引っ越ししたそうよ」
お母さんが教えてくれた。
「どうして? 何処に?」
「あまねちゃんのお父さんの体調が悪いかららしいわよ」
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