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お母さんはそれ以上は何も教えてくれなかった。
どうしてあまねちゃんは黙って行ってしまったんだろう。
嫌われたのかな。
颯は肩をがっくり落とし深いため息をついた。
あまねちゃんが引っ越して瞬く間に半月が過ぎたある日のこと、一通の手紙が颯宛に届いた。
「あまねちゃんからだ!」
颯は急いで、でも丁寧にハサミで封を切った。
手紙には、お父さんが病気で急死したことや、生活のためにあまねちゃんのお母さんの実家に住むことになったと書いてあった。
「あまねちゃん辛かっただろうな」
颯は手紙を何度も読んで封筒に戻した。
封筒の裏にはあまねちゃんの新しい住所が書いてあった。
「ここ知ってる」
あまねちゃんが今住んでいるところは自転車でだいたい二時間頑張れば着く。
「あまねちゃんに会いに行こう!」
さっそく颯はスマホを手に取り、マップにあまねちゃんの住所を入力した。海に近い、桜浜というところだ。
颯はお母さんに「ちょと外で遊んでくる」と声をかけ自転車に飛び乗った。
桜浜までは、家の前の川に沿って北に向かってひたすら自転車をこぐだけで着く。
颯はひたすら自転車をこぎ続けた。
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