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中学三年生
東京を出発してからどのくらいの時間が経ったのだろう。
視線を文庫本から車窓の外に移すと、高い山に囲まれた景色が広がっていた。
物凄い速さで後ろへと流れていく景色は、いつまでも山と田んぼが続き、随分遠くまで来たことを実感させられる。
ビルが立ち並ぶ東京とは明らかに違う土地にこれから住むのだと思うと、高校受験を控えた僕にとっては、期待より不安の方が勝る。
中学三年という大事なこの時期に転校することになったのは、お父さんの仕事の都合で東京から秋田へ引っ越しすることになったからだ。
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