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夏になる
その後も雄二郎は帰って来なかった。捜索願いを出してから月日は流れた。最初の頃は警察も周りも親身になってくれたが、それも徐々に薄れてきた。
「もう夏ですね。もうすぐ八月になりますよ」
「そうだな。もう帰って来ないかもしれないな」
文子と智己は肩を落としたままコーヒーを啜った。
「でも、何か不満でもあったのかしら」
「それが分かりゃ少しは手がかりになるんだがな」
それからは沈黙が続いた。
その時、けたたましく家の電話が鳴り響いた。
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