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新型はA国上空を通過し、A国東側の大洋上空に突入した。
まさか、ここまで飛距離が伸びるとは思わなかった。
だが、勢いが衰える気配は、まだ感じられない。
やがて、東側の大洋を越え、E大陸西部上空に到達。
いったいどこまで飛ぶのだろうか。
そんなことを考えていた時、
「将軍様! 大変です!」
軍官が青い顔しながら私に言った。
「どうした」
「たった今、製造元から連絡があったのですが、あのミサイルの中に、核爆弾が入っていたとのことです!」
「なんだと!? 核爆弾は未実装にしておいたのではなかったか!? どうしてそんなことが起きたのだ!?」
「それが、部品表を作成した時に、未実装と記入するのを忘れたそうです!」
「なんということだ! 担当者を見つけ次第、処刑しろ!」
「はっ! 承知いたしました!」
我々と敵対しているJ国とA国。
この二国は現在、同盟国同士だが、かつての大戦では敵同士だった。
その時、A国がJ国に使った兵器の中に核爆弾があった。
その威力は凄まじく、一つの核爆弾で、一つの都市を壊滅させるほどだった。
核爆弾は二つの都市に落とされ、それからほどなくしてJ国は降伏した。
その後、J国はA国と和解し、同盟を結んだ。
恐ろしくあきらめが悪かった当時のJ国を降伏に至らしめた核爆弾。
今、新型に搭載されているであろうそれは、かつてJ国に使われたものをはるかに上回る威力を持っている。
投下しようものなら、複数の都市が壊滅するのは確実だろうし、領土が大きくない国なら、国ごと壊滅するかもしれない。
もし、どこかの国に落下しようものなら、それが引き金となり、新たな大戦が勃発するだろう。
そうなったら、我が国は袋叩きにされるかもしれない。
なんとしてでも、避けなければ……
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