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新型の飛距離は更に伸びた。
C国上空を過ぎ去り、東側にある海の上空に到達した。
我が国は半島であり、北側はC国と隣接していて、西側は海を隔てた先にC国がある。
すなわち、新型はもう少しで地球を一周することになるのだ。
もし、我が国に落ちようものなら……
考えたくもない。
「将軍様!」
「なんだ?」
「衛星の高度が下がり始めています!」
「なんだと!? それで、どのあたりに落ちるか予測できるか?」
「はい、すぐに計算いたします!」
「大至急、頼んだぞ!」
「はい!」
計器と接続されているコンピュータ。
コンピュータにはキーボードやディスプレイ等が接続されている。
発射係は物凄い速さでキーボードを叩いていく。
少しばかり時間が経過した後、発射係の口から声が発せられた。
「将軍様、計算結果が出ました!」
発射係の顔は青ざめている。
「どのあたりに落ちる?」
「ここです!」
「ここって、どこなんだ!?」
「我々がいる基地です!」
「なんだとおおおぉーっ!!!」
最悪の事態になりそうだ。
「おい!」
私は近くにいる軍官に声をかけた。
「大至急、非常事態宣言を出せ! ミサイルが首都付近に向かってきているから、大至急、避難しろと!」
「はっ!」
軍官にそう命じると、軍官は発射室から出ていった。
ほどなくして室内のスピーカーからサイレンの音が発せられ、その直後に
『非常事態宣言発令! ミサイルが我が国に落下する可能性あり! 大至急、核シェルターに避難しろ!』
という軍官の声が聞こえてきた。この音声はネットワークを通じ、基地内だけはなく、全国の随所に届くようになっている。
「我々も避難するぞ!」
「「「はっ!」」」
我々は荷物をまとめ、発射室から出ていった。
地下にある核シェルターに避難するために。
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