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我々は廊下に出て、エレベーターを目指した。
だが、エレベーター付近には人だかりができていた。
しかたないので、非常階段を目指す。
しかし、ここにも人だかりができていた。
エレベーターも階段もかなり混雑している。
どちらが早く地下を目指せるか悩んだが、このまま非常階段を降りていくことにした。
特権を使い、道をあけるよう指示したが、混雑のせいで地下に辿り着くまで、かなりの時間がかかった。
だが、ようやく核シェルターに入ることができる。
私は扉に手をかける。
ん? 開かないぞ?
「将軍様、いかがなさいましたか?」
「扉が開かないのだ」
「ここは私めに……、あれ? 開かないぞ」
「私も手伝うぞ」
私は軍官達と共に扉を開けようとしたが、扉は一向に開かない。
もしや……
先に避難した連中でシェルターの中が満員になったから、扉を閉めてしまったのではないか?
「おい! 私だ! 扉を開けろ! 軍の最高司令官にして国家元首である私の言うことを聞けないのか!」
私は扉を強くノックしながら、できるだけ大きい声で言ったが、返事は聞こえず、扉が開く気配もない。
そういえば……
シェルターの中は完全防音だった。中にいる連中に聞こえるわけがない。
「おい!」
「なんでしょうか?」
「お前達が持っている銃で扉を破壊しろ」
「しかし、将軍様……」
「いいから早く!」
軍官達は扉に向けて自動小銃や機関銃を撃ち続けた。だが、扉は壊れるどころか、傷らしい傷すら付いていない。銃弾でへこんでいる様子も見られない。
そういえば……
シェルターの扉は、爆風はもちろん、ロケットランチャー等にも十分耐えられるよう設計されているのだった。銃弾ごときで壊れるはずがない。
扉を開く術はないのだろうか?
当方に暮れていると、あたりが眩しい光に包まれた。
炎に包まれたような熱く激しい痛みが、体中に走ったが、私は声を上げることができなかった。
直後、あたりがどんどん暗くなっていくと同時に、体が足元から地中に吸い込まれていくような感覚に襲われる。
最終的に周囲は真っ暗になり、私は何も感じなくなった。
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