2 敵の罠

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2 敵の罠

「ふむ。 それならば、そなた何が言いたいのだ?」 「答えは一つにございます。 これは、敵の罠の可能性が高いかと…」 「…この大軍をどう罠にかけるというのだ?」 「あら、意外と簡単にございますよ。 まず、横陣はあえて中央突破を誘うようにじわじわと後退していきます。 すると、あら不思議、その奥には林が広がっておりますね? 大軍は林の中におびき寄せられ、隠れた部隊から火矢が放たれる。 これで、大軍は散り滅裂状態。 そこに、残った軍勢で押し寄せれば… 混乱に乗じて勝つ事が出来る、というわけでございますよ。」 「ふーむ、なるほど…! そなたの指摘が正しいやもしれぬ… いや、正しいだろう。 すぐに、編成を変えねばならぬ。 俺はこれで。 あぁ、久しぶりに楽しい一時であった。」 そう言うと皇帝陛下は去っていかれた。 うーーーん、とんだ異世界転移だなぁ。 と、思いつつも、それを楽しんでいる自分がいるのを否定出来なかった。 ♦︎♦︎♦︎ 翌朝。 侍女のヨシュアがやって来た。 「まぁ、アンリ様! 昨日は熱く燃え上がったみたいですわね! ほら、皇帝陛下からのお手紙が届いていましてよ!」 「へぇ…」 何々? 【アンリ姫へ。 昨日は誠に楽しい夜であった。 そなたがそんなに頭脳明晰なおなごとは知らなかった。 今度の戦いの勝利はそなたに捧げよう。 皇帝スターツより。】 とあった。 ふむ。 以前の私は可愛いだけのお人形であったようだ。 ヨシュアの話を分析するに、ここは、後宮であり、私は侯爵家から嫁いできた姫らしい。 だが、皇帝陛下のお気に入りとはなれずに、今まで後宮で燻っていたらしい。 まぁ、せっかくの第二の人生だ。 謳歌しようではないか? そう思った。 ♦︎♦︎♦︎ それから、数日後、皇帝陛下は武勲を立てて、堂々たる凱旋した。 そして、昼間に私の部屋にやって来たのだ。 昼間??? 何が何だか分からない内に皇帝陛下は豪華なプレゼントの数々を広げ出した。 「こ、皇帝陛下… 私はプレゼントが欲しくてあぁ言った訳では…」 「良いでは無いか? 何か気に入ったものは無かったのか?」 「いえ、どれも美しい品ばかりで…」 「では、受け取ってくれ。 そなたの助言で、大勢の兵士らが助かったのだからな。」 「は、はぁ…」 私は10以上のプレゼントの中から3つほどいただくことにした。 ♦︎♦︎♦︎ それから、しばらく皇帝陛下のお越しは無く… 私も退屈な日々を過ごしていると、その夜皇帝陛下が来られた。 相変わらず皇帝陛下は陣図を広げて難しい顔で睨めっこしている。
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