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4 外出許可
「したい事…でございますか…?
1つだけございますわ。」
「何だ、申してみよ!」
陛下がそうおっしゃるので…
「後宮から出して欲しいのです。
と言っても外出許可が欲しいと言うことで、ここから逃げ出すつもりはございません。」
「なんだ?
そのような事で良いのか?
お安いご用だ。
俺がどこでも連れて行ってやろう。」
陛下がおっしゃる。
「ありがとうございます!
すぐに出かける準備をしますわ!
ヨシュア軽いワンピースを出してちょうだい!」
そして、私は動きやすいワンピースに着替えて、陛下と一緒に馬車に乗った。
「まずは、どこに行きたい?」
「鉱山の街ベルドッグに。」
「はぁ…?
そなたは本当に変わり者よな。
鉱山の街など、ご令嬢方は見向きもせぬのに。
まぁ、そこで採れた財宝は別だがな。」
陛下はおっしゃる。
「財宝に興味は無いのです。
それよりも、陛下?
最近あまり鉱物が採れて居ないと聞いております。」
「あ、あぁ。
そうだな。
確かに採れていない。
だが、この国には鉱山資源が多い事が分かっている。
多分下の方にあるだろうから、採掘作業は止めるつもりはない。」
「なるほど。
それでしたら、私に一案がございますわ。」
「一案だと?」
「えぇ、深い土は固く中々に掘り進められません。
普通の者ならば、ですけれど。」
「普通じゃない者とは?」
「それは…土魔導師ですわ!」
「土魔導師?
それを集めよと言うのか?」
「おっしゃる通りでございます。
土魔導師はこの世界では評価が低すぎまする。
土は万物の源と言っても過言ではございません。
土魔導師にできることは鉱山の採掘作業だけではないのです。
畑の土の改良、それから、外壁の修繕・構築、城の補修。
農民や土木作業の者が一年でやる作業を1週間でやってしまうでしょう。
是非、土魔導師を高待遇で集めるべきでございます!」
私は力説した。
「分かった分かった。
そなたを信じて金貨3枚の月収で土魔導師を集めよう。」
そして、翌日には、ベルドッグの街に5人の土魔導師が集まった。
「さぁ、各々の力を存分に見せるがいい。
目標は地下に眠る金塊と銀塊だ!」
皇帝陛下の声で、土魔導師たちは両手をかざして合わせて5トンもの土を持ち上げた。
下からは金銀がどっさりと現れたのだった。
「おぉ!
素晴らしい!
そなたらには、金貨5枚を特別報酬として渡そう!」
皇帝陛下はおっしゃる。
国づくりもいい方向に進んできた。
あとは、もう一踏ん張りだ。
「皇帝陛下に申し上げたき事がございます。
一旦後宮に戻りましょう。」
「あぁ、全てそなたのおかげだ。
今宵は寝かせぬぞ。」
「ははは…
本当に寝れぬかもしれませんよ?」
そうして、馬車を走らせベルドッグを後にした。
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