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5 鉱山を守る方法
後宮にて。
「さて、採掘も順調かと存じます。」
「あぁ、全てそなたのおかげだ。
戦には金が掛かるゆえな。
貴重な財源だぞ。」
「その財源を守る方法にございます。」
「守る…?」
「良いですか?
この国から金銀財宝が採れるとなれば、他の国が放っておくでしょうか?
当然、採掘場は各国から狙われます。」
「ど、ど、どうすればいいのだ!?」
焦った口調で言う陛下に、私は穏やかに論を述べる。
「この際、嘘の噂を流す、というのはいかがでしょう?」
「嘘の噂だと?
どんな噂なのだ?」
「まず適当な鉱山を、金銀財宝が出る鉱山だ!と、言いふらします。
当然その鉱山は狙われる訳です。
適当な人数の守り人を鉱山に付けておきます。
そして、敵がやって来たら割とすんなり中に通す訳です。」
「ほぉほぉ。」
「そして、敵が全て鉱山の中に入ったところで、近くの街人達全員で鉱山の上に乗り、跳んだり跳ねたり。
当然土砂崩れが起きます。
全員生き埋めになって、めでたしめでたし。」
「な、なるほど…」
「この方法の利点は3点あります。
1、本物の鉱山を守る
2、どれが本物の鉱山か、分からなくする
3、気安く鉱山を攻められなくなる
でございます。」
「なるほど~、そなたも悪知恵が回るのぉ~!」
「戦国の基礎にございますよ。」
私はニッコリ笑ってそう答えた。
「では、さっそくそのように致そう。
はっ!
もうこんな時間か!
俺は指示を出さねばならぬ!
また!」
「はい、またお待ちしておりますわ。」
私はそう言って眠りについた。
なんだかんだで色々と移動したりと、疲れてしまった。
♦︎♦︎♦︎
数日後、スターツ様が昼間にやって来られた。
鉱山作戦も無事に済んだ、との事だった。
「さて、問題は今年の不作よ…
どこもここも不作でな…」
スターツ様はぼやく。
「あら、そんな時こそ土魔導師の力を借りれば良いではありませんか?」
「それはもうやってみた。
肥えた土に変わったからと言ってそう簡単に芽が出る訳でもなかろう。」
「もう一つ方法がございますわ。」
「何だ?
申してみよ。」
「植物魔導師をお探しなされませ。」
「植物魔導師…か…?」
「そうです。
彼らならば、芽を出す事など朝飯前、でございますわ。」
私は言う。
「よし、やってみるか。
植物魔導師など聞いた事も無いが…」
「植物に関わる魔法が使えるならば、誰でも構いません。」
「ふむ。
とりあえず募集してみるか。
金貨5枚ならば、集まるやもしれぬ。」
「ご健闘をお祈りしております。」
そして、陛下はまた政務に戻った。
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