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「冗談が過ぎるというか、どうして冗談を本気にしているのだ、オレ」
「あほね」
そんなことを話して過ごしていた。
そんなある日の夜のこと
「あなた」とけいこがたつひこに声をかけた時に、もう一人けいこがいるのにたつひこは気が付いた。
「どうして二人いるのだ」たつひこは声を挙げた。
「私は本物よ」
「私の方が本物よ」
どちらも同じ服を着て同じ顔をして同じ体型で並んで立っている。
「私は本物の証拠に猫の餌を食べない」
「私は猫を飼ったことがない」
「ばれたか」
「その人は猫じゃないの?」
「猫だよ」
「寛太のお母さんですか?」
「ばれちゃ仕方ないね」
「それで私がいない時にたつひこさんと寛太君の話をしていたのですか?」
「そうだよ」
「猫の姿に戻ってください」
「はい」
けいこの姿をしていた女は三毛猫の姿になった。
「本当だ」たつひこは何を見ていたのかわからなかった。
「私の真似をして私が出かけている時にあなたと話していたのですね」
「そうか、それでけいこが出かけている時にすぐに戻ってきたと思ったら猫の寛太のお母さんだったのか」たつひこはやっと状況が理解できた。
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