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寛太は母親と再会して喜んでいるのかと思ったらすぐにたつひこの方に来た。
「元気で過ごしなよ」母親猫はすぐに玄関から外に出て行こうとしたのだった。
「お前が元気で暮らしているのを確かめに来たのさ」
猫なのに人の言葉を話していた。母親猫はそう言って外に出た。
「不思議なこともあるものだ」たつひこはけいこと顔を見合わせた。
「そっくりだったね」たつひこが言ったら、けいこは笑い出した。たつひこは複雑な気持ちだった。彼が話し相手はけいこだと思って話したことは、寛太の母親の猫に聞かれていたのかと思ったからであった。本当のことがわかったという意味ではたつひこは気分がよかった。
たつひこが告白したのは寛太の母猫だったのかもしれない。
たつひこは本物のけいこと恋している証拠が欲しくなった。
その日たつひこはけいことはじめてキスをした。
(了)
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