引っ越し宝くじ(実は化け猫)

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「雄ですか? 雌ですか?」 「雄の子猫」 「それはきっと可愛いわね」 「可愛い」 「外に出ることはあるの?」 「室内で飼っている」 「座敷猫ね」 「そういうことになるのかな」 「私も猫好き」 「そうなの?」 「そうなの」 「今度僕の部屋に来ない?」 「いいわよ」 「日曜日に来て」 「いいよ」  動物病院の医師に聞いたところ寛太は去勢手術の必要はないでしょう、とたつひこは言われた。 「お邪魔します」けいこが来た。 「どうぞ」 「可愛い猫ちゃん」 「猫に目が行ったか」 「可愛い」  寛太は黙っていた。 「けいこは猫を飼っているの?」 「飼っていない」 「飼っていないのか?」 「飼えないの」 「どうして」 「うちの近所は猫を飼うことは禁止されているの」 「そうか」 「あなたのところは猫飼っていいの?」 「そうだよ」 「いいのね」 「珍しいかな?」 「そうでもないけれど」 「ふううん」 「どうした」 「猫は可愛い?」たつひこはけいこが猫ばかりほめるので少し嫉妬していた。 「可愛いわよ」 「君も可愛い」 「あほね」 「あほだけど」  たつひこは笑って寛太を呼んだらすぐにそばに来た。 「寛太?」
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