引っ越し宝くじ(実は化け猫)

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「名前」 「面白い」 「そうなの?」 「寛太君だなんて」 「面白いの?」 「面白いわよ」  今年彼女は大学卒業して就職したてだったので若いのであった。 「君は猫の方が俺より興味があるのかい」 「そんなことはないわよ」 「ならいいけど」 「仕事のことは忘れておきましょう」 「そうだな」  たつひこはけいこの顔を見つめた。 「どうしましたか?」 「可愛いなと思って」 「お上手ね」 「いや可愛いよ」 「誰でもいいの?」 「よくないよ」 「ならいいけど」  彼女は何を言いたかったのかはたつひこにはわからなかった。 「君はバスに乗ってきたの」 「そうなの」 「それはいいことだ」 「まさか私と結婚したいなんて思っている?」 「まだわからないよ」 「なんだ、その程度か」 「君オレと結婚したいとか?」 「無理だよね」 「君オレに恋したとか?」 「恥ずかしいよ」 「君はオレとの結婚を望んでいるのかな?」 「知らない」 「まさか」 「そんな高望みはしないです」 「まさか」 「あなたのことが好きです」 「えっ」たつひこは絶句した。  それからとんとん拍子に話は進みたつひこはけいこと結婚することになった。
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