1 夫・宏輔

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1 夫・宏輔

   ★    あと二時間ほどで、昼が沈んでいく。  助手席では妻の綾乃が、まだ青々しい水平線をぼんやり眺めていた。  往路よりもかなり軽くなったワゴンタイプのレンタカーは今、僕と綾乃だけを乗せて朝来た道を戻っていた。 「とうとうふたりに、なった、ね」  運転中の僕に首だけ向けて、少し困ったような笑顔を見せる。  あはは、とどこか誤魔化すような綾乃の素振りを視界の端に捉えて、僕は戸惑ったまま「そうだね」と返した。  
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